海を守る少年
- 海を守る少年Digital400 JPY
- 無料試し読み版Digital0 JPY

※BOOTH紹介文 この本に興味をもってくださりありがとうございます! 【本作は】 ↓ “海”をテーマにした短編集です 海を眺めるというのは、 なんだか贅沢なひとときだと思います。 少年、そして老人、眺める人や場所が変われば それぞれの眺める理由があります。 そのいくつかを物語にしました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 海へ逃げ出した少年は、老人になるまで海を見守るのだろう。 老人の眺める海の先には、世界中、人々の知らぬところで様々な物語が紡がれている。 少年は海を見守る。 それがたった一人の人間のできる精一杯、海を守るという事かもしれない。 海は終わりを知らず、時と場所に関わらずどこまでも続いている。 それを眺める人の短い一生は少しずつ変化し、 また未来へと紡がれてゆく。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー ①海を眺めると不思議と落ち着く。 ②想い偲ぶ人それぞれの物語が読みたい。 ③自然という大きな運命に翻弄される流れを汲みたい といった方に、それぞれお楽しみいただけると思います。 1万5000字程で6話完結の短編小説です。 それぞれの話がすらすらと読みやすく、 海に関連した物語を、 海を眺めるようなひとときとしてお楽しみください。 ▽ これからもたくさんの読みやすい短編集を本にしてお届けします! 新作の通知のため、ぜひ BOOTHのフォローをして 応援よろしくお願いします! また、割引キャンペーンやプレゼント企画の告知などもしますので、 SNSのフォローもよろしくお願いします! Ⅹ(旧Twitter):@say6novel 著者:セーイ6
【無料で試し読み!】
noteかPDFで試し読み出来ます! ※PDF版はより雰囲気を楽しめます。 note↓ https://note.com/say6novel/n/nb7836098a283 ------------------------------ 『少女と少年』 ———少年は、海を眺めていた そうする他、することがなかった この大海原(おおうなばら)に浮かぶ、少女とたった二人では——— ————————— 「ねぇ」 「ずっと眺めていて、なにかおもしろい?」 傍らに腰かける少女が、無遠慮に そう問うてくる 「・・・」 僕はむすりとしたまま、波の音に耳を預けていた ———僕らは逃げてきた 彼女のお付(つき)を煙に巻いて、追手を振り切って、嵐の中 たった二人で小さな船を出した。 あまりにも無謀であったが、雨と風は僕らに味方した。何かに守られていたような、不思議な体験だった。 そして、とにもかくにも… 僕らは自由を手にした——— ————————— 「ねぇ」 「・・・」 「ねぇってば!」 広い海の真ん中に響く少女の声。浮ついているのが分かる… 疎ましくもあるがどうにも、僕はその声色(こわいろ)に少し惹かれるのだ やれやれと顔をしかめながらそちらへ顔を向ければ、驚いた 「風が気持ちいいよ!すっごく気分がいい!」 彼女は子ども二人でやっと動かせるくらいの船のうえで、くるくると回ってみせた 「危ない…!」 僕はハッとして、つい少女の手を引く 彼女はそれに体勢を崩して、バタりと僕の上に倒れ込んでしまう 「…ごめん」 目を合わせず咄嗟に謝る・・・すこしの沈黙が流れる 彼女は顔を上げて、両手を僕の頬にかけて軽く引っ張った 「———大丈夫だよ」 真剣な眼差し、瞳に陽射しが煌(きら)めく 「嵐はどこかへいってしまったもの、もう船から落ちたりしないわ」 手がはなれ、ふふ、と少女は大人びて笑う 僕は、肩の気が抜けるのを感じた 「ねぇ」 彼女がまた呼びかけてくる 「なんだよ、さっきから。僕はこれから——— 「ありがとね、助けてくれて」 そういった少女は、海を眺めていた——— ————————— 嵐の中、必死に僕らは船を漕いだ。 鳴り響く轟音。ピシャリと走る雷光。大きく上下する波に弄ばれ、わけもわからずただ必死に漕いだ。 右も左も分かるはずなく、それでもただ嵐を抜け出ようと、なりふり構わず腕を動かしつづけた。 そんなあるときだった ひときわ大きな波に船が持ち上げられ、僕も彼女も腰を浮かされた ———その瞬間、僕にはわかった ほんのすこし、少年にくらべ 少女は軽かった 嵐の海へと、少女が投げ出される。 防ぐ術(すべ)のない光景だった———はずだ ————————— 「…僕は、なにもしてないよ、、手はとどかなかったんだ。 あの瞬間、君の手にとどいた瞬間、海がうねったような気がした———」 「———波が君を、押し戻したようにみえた」 少年は神妙そうに俯(うつむ)き、そう絞りだした。 少女はそれを静かに聞いていたが——— 「違うよ」 「———え?」 僕は顔を上げる 「…そうじゃなくて、島から連れ出してくれたこと!」 「私、あなたに会えてよかった、って…思ってるんだよ?」 彼女は立ち上がり、またくるくると回りだす 「あ、あぁ……いや、それは、僕も島を出たかったし———」 「家族を置いて?」 「・・・」 なにも言えず、また俯く… 少女は回るのをやめて、隣に座り込み、目を伏せた 「冗談。私もそうだし…。お稽古抜け出して森で会ったのが、君でよかった。」 彼女は疲れたのか、僕に身体を預ける 「ねぇ、私たち、この海の真ん中でさ このまま子どものまんま死ぬのかな…? 島の外に出たら、たくさんの自由が待ってると思ってたのにな…」 カモメがキィキィと鳴いて翔んでいく 海に浮かぶ、小さな船の上を 「———おやすみ。」 「大丈夫、僕たちは今から会いに行くんだ」 少年は少女をなだめ、小さな船の上、身を寄せ合って波の音に耳を預ける… 「そこにはある人がいて、僕らは小屋を貰うんだ。栄えた街で、欲しい家具はなんでも揃うよ、そこで自由に暮らそう、その人の代わりに、それから自由に暮らそう」 いつの間にか すーすー、と寝息を立てる少女 海に運ばれ、船の上、大海原に浮かぶたった二人 確かに自由を手にした少女の横で ———少年は海を眺めていた ------------------------------ ここまで読んでいただきありがとうございます。 他にも多数の試し読みをご用意しております! 少しでも気に入った作品あれば、続きのご購入をご検討くださると幸いです! 今後とも応援よろしくお願いいたします。
【注意事項】
商品についてご質問・ご指摘ありましたらお気軽にお問い合わせください。 小説→Ⅹ(旧Twitter):@say6novel シナリオ→Ⅹ(旧Twitter):@say6_trpg 上記含むその他:seisei666666@gmail.com よくあるお問い合わせ ・朗読への使用許可 ・広告媒体への作品紹介の許可 など 上記連絡先へ、お気軽にお問い合わせください。 また商品の使用に関しては自己責任でお取り扱いください。 商品の横流しはお辞めください。欲しいという方がご友人等におりましたら、このショップをお教えした上でご購入を促して頂けますと幸いです。 --------------------------------------------------------------------- 【小説について】 “朗読”や“作品紹介”へご自由にお使いいただけます! その際 ・作品の購入をされていない方の使用。 ・BOOTHやX(旧Twitter)に公開されていない範囲の画像公開。 は禁止とさせていただきます。 以下、 ・朗読やラジオとして、文字を音声へ変換する使用(BGMや別の画像との併用は可) ・作品の紹介、まとめ、などの有料内容が無料公開されない二次利用 が可能です! (その他、作品について使用許可をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください!) --------------------------------------------------------------------- 当配布物・販売物につきましては、真心込めて製作しておりますので、転売・騙りなどの自らの創作物として取り扱う行為はお辞め下さい。 本ショップにおける作品の著作権はセーイ6にあり、その作品の著作権どれもを放棄いたしません。 許可のないAI学習はおやめください。 当方の意に介さない使用を発見した場合、法的措置に則り対処いたします。また、そのような方を見つけた場合、お手数ですがセーイ6までご報告願います。