坊さんと貧乏神と愉快な仲間 戦国時代編
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戦国時代末期。 焼き討ちによって寺を失った坊主・円明(えんみょう)は、人や出来事の未来の因果を断片的に視る「因果視」の力を持ちながらも、その力を使うことを恐れ、流浪の身となっていた。彼は戦場跡で、人々の不運を糧とする異形の神・貧乏神マーサルと出会う。皮肉屋で享楽的なマーサルは、戦乱こそ自らが最も力を発揮できる時代だと語り、円明に付きまとうようになる。 二人は旅の途中、小国の国人領主・久我直景(くがなおかげ)に命を救われる。直景は武名よりも民の暮らしを重んじる異端の武将であり、その志に心を動かされた円明は、彼の未来を視てしまう。そこには「歴史に名を残さず滅びる未来」と、「天下の流れを一度だけ歪める未来」があった。 円明は助言を与え、マーサルは敵方に不運を転嫁することで、直景を密かに助力し始める。不可解な勝利が重なり、直景は“運の武将”として周囲から注目を集めるようになる。しかしその裏で、円明は力を使うたびに命を削り、マーサルは集めすぎた不運によって災厄そのものへと変質し始めていた。 やがて直景は、自らの勝利の影で敵国の民が飢え、病に倒れている現実を知る。さらに円明は、避けられぬ大戦の未来を視てしまう。その戦に勝てば天下は安定するが、無数の民の命が失われる運命だった。 苦悩の末、直景は「勝つための戦」ではなく、「戦を避ける選択」を下す。マーサルは最後の力で膨大な不運を引き受け、歴史の流れを静かに逸らす。円明は因果視の力を失い、ただの坊主へと戻る。 直景の名は歴史にほとんど残らない。 しかし戦は小さく終わり、土地と民は生き延びる。 記されぬ救いと、語られぬ異能が、静かに未来を支えていたのだった。
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