短編集 いきとしいけるもの
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いきとしいけるもの ◆それは、宇宙ゴミであり、蝉であり、小石であり、 文房具であり、埃であり、ペットボトルである。 ◆僕らの言葉は彼らに通じない。 しかしそれは彼らにとっても同じこと。 ◆耳を澄ませば、きっといきとしいけるものたちの 賑やかな世界が僕らを待っている。 ◆擬人化に頼らない、ありのままの〈もの〉の姿を描く 6篇の短篇を収録。 サイズ:A6(文庫本) ページ数:142 カバーなし(表紙はさらさら手触りのマットPP加工で、心地よい読書体験ができます)
天動説の恋 5
そらをさすらう……それなら、あなたは星屑のデブリ。 ◆約4500字 ◆恋愛SFファンタジー ◆ デブリ(宇宙ゴミ)は月に恋をし、彼女の周回軌道に乗る。 月のために、デブリはそらをさすらう。 ある日、月が想いを寄せる明星のために、デブリは贈り物を届けることになって……。
僕らのグレートジャーニ― 19
まけるな、まけるな、ぼくには、こいしがついている。 ◆約10000字 ◆冒険 ◆ 竹林の奥に、苔むしたトンネルがあった。 少年は、友達のようへいに連れられて中へ入るが、そこは気味が悪いほどひんやりとしていた。 勇気を振りしぼるために、少年はポケットの小石を握りしめる。 「なに、アンタも逃げるわけ?」 小石のこいしは、少年にだけ聞こえる声で、叱咤する。
四月の蝉 43
ジジ……。 ◆約6000字 ◆おとぎ話風現代小説 ◆ 四月の肌寒いある夜、広場の並木で小さな音が立った。 それは、季節はずれに地上へ姿を現した蝉が飛び立つ音だった。 ひとりぼっちの蝉に関心を抱いた語り手の、小さな物語。
さび 65
一度だけでいい。一度だけでいいから……。 ◆約8500字 ◆説話風現代小説 ◆ 小学生になった少年は、お祝いにおどうぐばこをもらった。 ふたをあけると、そこにはたくさんのおどうぐたち。 目についたのは、青い柄をしたはさみくんだった。
さすらうほこり 87
俺はさすらいのほこり。同じ場所へはきっと二度と戻れない。 ◆約3000字 ◆説話風民話 ◆ シガキ、と呼ばれる風に乗って、さすらうほこりは神社の納屋に着陸した。 そこには、シカライガワ村に伝わるまつりに怯える、みこしがいた。 彼はまつりによって、この身がぼろぼろになってしまうという。 それにたいして、ほこりがとった行動は……?
ボトル漂流物語 97
今のまんまじゃ仕事をポイ捨てしたも同然よ! ◆約16000字 ◆冒険譚 ◆ めざめると、ペットボトル君は海にいた。頭にはキャップちゃんが、胴にはラベルくんがいる。 彼らは船から放り出されたらしい。 これからどこへ行くのか。 アジくんやシオさん、おひさまにアラシ……行く末を尋ねながら、彼らは海原を漂流する。