あらすじ： 山形出身の春日莉奈は、高校を卒業して都内の女子大に進学することになった。莉奈の父親は東京暮らしの娘のために立派な家を借り、昔からなじんでいる秋野鎮弘を執事として側に付けることにした。加えてメイドの花園嘉子を雇い、三人で盤石な東京生活を送れるようにする。春から始まったこの新生活にも徐々に慣れ、夏になるころまでには莉奈にも気の置けない友人が出来るようになる。ここで新しい恋が芽生えるが、その行方はどのようになるのだろうか。 みどころ： 現代劇でありながら、まるでヴィクトリア朝期の屋敷のようにお嬢様、メイドそして執事が繰り広げるお屋敷の生活が本作の特徴です。ひょんなことから執事になった鎮弘に対し、更に本格的なメイドであった嘉子の莉奈への仕えぶりは注目に値します。メイドであることに誇りを持っている嘉子が時々披露する「本当のメイド」に関する知識にも同じく注目すべきでしょう。一方で安定の恋物語の一面もしっかり堪能したいところです。 　各キャラクターの直面する様々な戸惑いについても感じ取ってみましょう。 A6（文庫サイズ）224ページ 表紙、口絵、挿絵：唯花さん