仔猫ちゃんといっしょ4 良い子の社会科見学
- ¥ 200
仔猫ちゃんといっしょ4 良い子の社会科見学 高貴なる騎士・サー・ロレングラム家のクラムゼンは仕事のため、チキューにて起居していた。宇宙の警察機構に所属し、行方不明のプリンセス探索というのが、現在の任務である。結論として、進捗ははかばかしくないのだが。原住民の佐藤偲と、原住生物のタケコを心の慰めに、異郷の地で単身赴任中である。 現地生活に溶け込むべく学生という身分を手に入れていたので、日々を社宅マンションと大学とスーパーの三角地帯で過ごしていた。 朝食のテーブルにはドーナッツとホットチョコレートが並ぶ。ドーナッツは母星オゴーンのスートリを思い出させるので、郷愁を慰めてくれるのだ。 輪っかを見ながら家族に想いを馳せていると、チャイムが鳴った。 「朝っぱらからなんだろなぁ」 偲が玄関に出る。上司の訪問だろうかと、クラムゼンが及び腰を上げた時。ダイニングのドアが開いて、小さな人影が飛び込んできた。 「兄上!」 叫び声と共に、体に衝撃が加えられる。そこを渾身のプライドでもって踏ん張れたのは、クラムゼンが栄誉ある騎士であるからに他ならない。 「お会いしたかった!」 涙混じりに言い募るのは、愛する弟・エアトルであった。チキューの服装をしている。 クラムゼンは加重に傾ぐ体をなんとか真っすぐに立て直しながら、弟を見つめた。母国の寄宿学校で、貴族の子弟として恥ずかしくない教育を受けているはずの弟が、なぜチキューに! 「父上と母上に、何か一大事でもあったのか!」 慄然とするクラムゼンに弟は言った。 「長期休暇なので、やってまいりました」 そういえばそんな頃合いかと、クラムゼンは郷里の暦を思い浮かべたのであった。
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