仔猫ちゃんといっしょ5 家出物語
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スペック:B6/コピー/36ページ/発行日:2024.09.23 コメディタッチのボーイズラブ(エロなし)。ファンタジー。 宇宙警察官・クラムゼンと偲少年の、同居生活第5弾。
仔猫ちゃんといっしょ5 家出物語
宇宙警察の任務により、クラムゼンはチキューに赴任中である。平素は原住民・偲少年と、原住生物・タケコとの同居をしているのだが、母星オゴーンより弟のエアトルが休暇がてら遊びにきていて、マンションはなんとなく手狭であった。 弟と同じベッドに寝ると、若年らしい活発な寝相でベッドから蹴り落とされる。さりとて偲と一つの布団で眠ると、クラムゼンの忍耐が試される。仕方なくダイニングテーブルの下を我が寝床と決め、毛布一枚で春の夜の寒さに耐えていたのだが。 上司から呼び出しを食らった。 「一晩留守にする。エアトル、留守の護りは任せたぞ」 弟は勇ましく胸を張ると「お任せください、兄上」と元気よく返事をした。手には現地で手に入れた「野球のバット」なるものが握られていた。 やや不安はあったものの、マンションを出て宇宙へと向かった。 チキューの大気圏外に、上司の小型宇宙船が待っていた。 上司・ロセナは美しい金髪を短く刈り込んだ女性である。クラムゼンにとっては、親同士が勝手に決めた許嫁だ。現時点で運命から逃れる算段はついていない。 「先日の報告についてだ」 デスクに腰を下ろし、大仰に足を組んでロセナは言った。 「プリンセスを追いかける他の勢力がある、ということであるが」 クラムゼンは行方不明のプリンセスを探すために、チキューにいるのだ。 「今回の任務、実は上層部直々の指示で始まったこと。端的にいえば慣れ合いで頼まれごとを引き受けた上層部が、我らに問題ごとを擦り付けた、となるのだが」 上司の前で直立不動の姿勢をとったまま、クラムゼンは拝聴する。彼女との距離感はまだつかめない。 「簡単な家出人捜索でない、となれば現場としては黙っていられないからな。確認をしてみた」 ロセナの大きくつぶらな瞳が、一瞬だけ殺気を帯びた。どう確認したのだろうか。 「依頼をしてきたのはこの男。導師オダライアだ」 画面上に禿頭を輝かせた老人の画像が浮かぶ。 「依頼の通信データを入手した。機密であるから、この艦の外への持ち出しは禁止だ。まずは内容を確認しておくように」 データの入ったチップを渡され、あてがわれた部屋に入る。 チップを機器に差し込みデータを表示する。 『親愛なる■■■へ。私が仕える主家のことで相談がある』 と、文面が始まる。■は伏字だ。