花魁道中いろは唄 外伝 ~茜さす紫に君想ふ~
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仲ノ町の大通りを女衒が一人、輝かんばかりに美しい娘を連れて歩いて行った。 まだ若いその娘に売られた悲壮感は漂っておらず、未来を見据えてキラキラと光が差していた。 その美しさに道行く男達は皆振り返っては少女を見る。 通りはまるで少女のために用意された道のようで、やがて少女は若山遊郭随一の大見世華屋の暖簾の奥へと消えた。
花魁道中いろは唄 ~外伝~ 茜さす紫に君想ふ 【♂×1 ♀×4】
菖蒲 15歳 (♀) 明るく快活で大変に美しい少女。猫のように大きく吊り上がった目に、小さな鼻、唇はさながら薔薇の花びらのようだ。白い頬にほんのりと紅が差している。華屋という大見世に売られた菖蒲な、自分をお職、ひいてはこの若山遊郭の頂点にしろという。ふてぶてしい態度と横柄な様子に、次代お職候補である牡丹はたじろぎ、不安を抱える程に、菖蒲は強かった。 牡丹 15歳 (♀) 若山遊郭随一の大見世お職、藤花魁の妹として奉公する振袖新造。菖蒲とは違う柔らかく優しい貌立ちの美しい娘だが、自分の要望にはいまいち自信が持ててはいない。藤の妹として5年間、真面目で懸命に勉学に励んできたが菖蒲の登場で牡丹の将来に暗雲が立ち込める。文字すらかけない菖蒲は気迫だけでもお職の座を狙える程に強かった。 藤 25歳 (♀) 若山遊郭随一の大見世、お職の花魁。非常に賢明で大変に賢く、先を見据えて己の責任を全うする藤は、お職として十分な貫禄を備え持っている。5年前から育てている牡丹と先日買い取られて来た菖蒲以外の妹も育ててきたが一人も死なせることなく全員花魁に育て上げるという快挙を成している。平等で公平だが、自身は狡猾で機転が利く。 女将 23歳 (♀) 15歳の時に華屋に訪ねて来て以来、華屋で働き続け、18の時に忍虎を祝言を挙げ正式に夫婦となった。楼閣を経営するための便宜上のためと触れ回っているようだが、阿吽の呼吸を持っている辺り、相当に仲睦まじいようだ。他人が見ている所でそういった雰囲気を悟られるのが苦手なので、人前では厳しく機転の利く女将らしさを持っている、が実際は相当なドジっ子。 忍虎 43歳 (♂) 忘八の立場にありながら八徳を守る堅実で真面目な男だが、見た感じは昼行燈でぼやぼやしているように見える。曲がったことが大嫌いで忘八の鏡とも言われるような楼主連中とは仲が悪く、正義心も強いので自身の見世の妓を酷い扱いしているようであれば容赦なく制裁に向かう。総名主の立場を持っているので楼主連や茶屋の亭主たちからは恐れられている。
役表
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 菖蒲(♀)・・・ 牡丹(♀)・・・ 藤(♀)・・・・・ 女将(♀)・・・ 忍虎(♂)・・・ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー