三上於菟吉『恋は空し』
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三上於菟吉『恋は空し』は、大正の終わり(1924年)から昭和のはじめ(1929年)にかけての当時の女性恋愛事情を描いた短編集です。 三上於菟吉の描く女性には、いろいろな姿がありました。本巻に収録した5つの短編は、いずれも個性溢れる女たちの姿が描かれています。 「恋は空し」(『苦楽』大正13年4月号)は、交際した女性の行く末に驚かされます。結構悲惨です。このあたりの悲しさは、当時の芸者という女性の一つの姿を現しているのではないでしょうか。 「電撃」(『キング』大正14年6月号)は、アメリカへ渡る船上で二人の男が決闘する話です。決闘シーンは、三上於菟吉の剣劇の迫力をそのまま伝えています。「雪之丞変化」につながる剣劇ですね。決闘のきっかけとなった女性は大和撫子でした。彼女は当時の日本女性の崇高さを現しています。 「宝物」(『サンデー毎日』昭和2年6月15日号)は、うら若き女性に弄ばれる大学生の姿が描かれています。オチも利いています。 「胎教」(『サンデー毎日』昭和3年3月15日号)は、物心もつかない小さな女の子が大人びた振る舞いをする姿を現しています。少々気持ちが滅入ります。 「賢い痴婦」(『サンデー毎日』昭和4年3月20日号)は、年増美人(ホントに色っぽく感じる筆の巧さ)における、未亡人の遊び方を描いたもの。それをお金がある資産家の男たちから分析されていたところが面白いです。 三上於菟吉の女性を描く〈探偵のまなざし〉は、はたしてどのような恋愛世界を暴いてくれるのでしょうか? ※新書版78ページ・編集 湯浅篤志 (ヒラヤマ探偵文庫44・2026年9月13日発行) 【Boothでご注文された方への特典】 三上於菟吉『恋は空し』(ヒラヤマ探偵文庫44)を、ヒラヤマ探偵文庫JAPANのBoothで注文された方には、以下の特典があります。 森下雨村が、『サンデー毎日』昭和2(1927)年7月17日号で「探偵小説漫談」というエッセイを書いていました。それを現代テキスト版(A5版4ページ)にしましたので、おつけしたいと思います。 また、それに加えて、ヒラヤマ探偵文庫JAPANで扱っている他の本を購入していただいた場合、さらに三上於菟吉が書いた「原稿贋札説」(『中央公論』昭和3(1928)年1月号)をオマケでつけます。 どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
