代謝髪 第一話「代理」
- Digital990 JPY







悪くない人が頭を下げるのが、いちばん効く。 真壁小春、23歳。謝罪代行会社「平身堂」の新人。 背中の中ほどまで伸ばした栗色の髪は、十年かけて育てた、彼女の名刺。 面接で社長・御堂は言った——「髪? そのままでいい」。 初仕事は、欠陥マンション「グランシエル」をめぐる大手不動産の代理謝罪会見。 記者四十名、カメラ十二台。深く頭を下げた瞬間、低く結んだ髪が肩から滑り落ち、マイクを覆った。 被害者の会の代表・塚本の声が会場に響く。「髪で顔を隠して、謝るんですか」。 会見は三十分の休憩で止められた。控室で社長は言う。「刈れ。0ミリだ」。 違約金、奨学金、母への仕送り——断る選択肢は、最初から一つしかなかった。 スキンヘッドの先輩・氷室が、鏡に背を向けた椅子で鋏を入れる。 右から、後ろから、左から。バリカンが額の生え際から入り、横と後ろは地肌まで。 平らなトップ、直角の角。そして——「もみあげは、壇上で落とせ。カメラの前でだ」。 白いケープのまま会見場へ。フラッシュの中で、泡と剃刀が耳の上に一本の線を引く。 土下座。採点は「八十点。額が浮いてた」。 初めての鏡の中の「だれか」。隠すことを禁じられた帰り道。毎朝の剃り直し。差し替えられた社員証——。 【収録】フルカラー31ページ(表紙+本文30P)/全130コマ 【エンジン】喪失・無力・羞恥。四幕構成(名刺のような髪への誇り→会見・髪がマイクに・「刈れ」と違約金 →控室の鋏の三方向・額からの3mm・0mmの三方向・平面出し・壇上の剃刀→土下座と採点・初鏡・電車・母の電話・社員証) 【最終形】テクノ角刈り(サイド0mm・地肌の透ける平らなトップ・耳の上で一直線に剃ったもみあげ) 【画風】写真に近い写実的な塗りのフルカラー 【方針】散髪の屈辱に特化した非性的作品。性的表現・露出はありません。 ※登場人物はすべて成人(18歳以上)です。主人公・小春は23歳。 ※本作はフィクションです。会社・団体・事件・登場人物はすべて架空です。






