下剋上髪 第一話「お揃い」
- Digital990 JPY







笑ったあの髪型に、今日からなるのは私。 城ヶ崎瑠璃、25歳。百年続いた専門商社「城ヶ崎商事」の三代目社長の一人娘——だった。 腰まで届くハニーブラウンの巻き髪と、祖母の形見のカチューシャ。 「瑠璃の髪は、城ヶ崎の看板ね」。母がそう言って自慢した髪。 会社は新興IT企業に買収され、父は倒れ、屋敷は売られ、母は療養施設へ。 再就職に五十社落ちた瑠璃が最後にたどり着いたのは、「旧城ヶ崎商事本社・事務職」の面接。 社長室で待っていたのは、屋敷の離れに住んでいた家政婦の娘・森下葵。 子どもの頃、台所鋏で切られた彼女のお椀頭を、瑠璃は「貧乏くさい」と笑った。 入社条件、第三項。「前社長家の象徴を当社に置いていくこと」。 母の療養費は三か月滞納。断れば、母は施設を出される。 契約理容師の江藤が鋏を入れる。顎の下で右から、後ろから、左から。 耳のずっと上にお椀の線。眉のずっと上で前髪。姿見の横には、子どもの頃の葵の後ろ姿の写真。 線から下はバリカンで刈り上げ、最後のひと刈りは葵が自分の手で入れる。泡と剃刀。 ガラス越しに見ているのは、役員と、父の元部下たち。 「目を開けてください、お嬢様。……ほら、これでお揃い」。 床に額をつけて泣きながらの謝罪。剃った跡を自分の手で触らされ、言わされる言葉。 社内報の写真。毎朝の剃り直し。「お嬢様」から「城ヶ崎さん」へ——。 【収録】フルカラー34ページ(表紙+本文33P)/全130コマ 【エンジン】喪失・無力・羞恥。四幕構成(看板の髪への誇りと、子どもの頃の過ち→買収・母の療養費・社長室での再会と入社条件 →鋏の三方向・お椀の線・前髪・バリカンの三方向・新社長の最後のひと刈り・剃刀→初鏡・土下座の謝罪・言わされる言葉・社内報・毎朝の椅子) 【最終形】高刈り上げのお椀おかっぱ(耳のずっと上で一周する水平線・線から下は剃り上げ・前髪は眉のずっと上で一直線) 【画風】白地にペンとマーカーで描いた、表紙イラスト調のフルカラー 【方針】散髪の屈辱に特化した非性的作品。性的表現・露出はありません。 ※登場人物はすべて成人(18歳以上)です。主人公・瑠璃は25歳、社長・葵は27歳。回想の子ども時代は顔を描いていません。 ※本作はフィクションです。会社・団体・登場人物はすべて架空です。






