扮装髪 第一話「扮装」
- Digital990 JPY







養成所を出て事務所に入って一年。出川佑莉(18歳)にはまだ、これといった仕事がない。 顔がずば抜けているわけでも、演技がうまいわけでもない。 だから腰まで伸ばした銀鼠アッシュの髪だけが、どの現場でも必ず褒められる、たったひとつの武器だった。 初めての大きな仕事が決まる。格闘ゲーム『幻闘列伝』の実写プロモーション。 全国の駅にポスターが貼られる。役は青いチャイナドレスの女格闘家、リー・メイファン。 撮影当日、佑莉は現場で何気なく訊いた。「ウィッグってどこにありますか?」 ——動いていた現場の手が、いっせいに止まる。 「ウィッグじゃないよ。地毛でやるって話、聞いてない?」 「切るっていうか——剃るの。お団子ふたつ残して、あとは全部」 「クライアントさん、本物に寄せたいんだって」 誰も怒鳴らない。現場は最後まで和やかで、みんな親切だ。 それでもマネージャーは静かに言う。「ここで降りたら、次は無いよ」。 香盤表には、もう「9:30 ヘアメイク」と入っている。理容師も呼ばれている。 白いケープの下で手が隠され、鏡には布が掛けられた。 鋏が銀鼠の束を落とし、バリカンが生え際から地肌を出し、泡と剃刀が頭を丸くしていく。 ——そして剃り終えたあとに、「可愛く仕上げる」工程が来る。 残した二束が巻かれ、白いリボンが掛けられ、周りが「かわいい!」と沸く中で、 佑莉だけが凍っている。 撮影本番。両手でお団子を挟むポーズを求められる。自分の手で、この頭を指し示せということ。 「——メイファン、参ります!」何度も言わされる。カメラは動画も回している。 三日後のイベントでは、ファンのスマホが何十台も、髪の無い場所ばかりを狙う。 髪はいつか伸びる。でも、この頭の自分は、ずっと残る。 【収録】フルカラー34ページ/全100コマ 【エンジン】喪失・無力・羞恥。四幕構成(誇り → ウィッグではないと知る葛藤 → 剃髪 → 晒される余韻) 【画風】明るい萌えCG(ギャルゲー/ラノベ挿絵系・撮影スタジオの高キー照明) 【方針】散髪の屈辱に特化した非性的作品。性的表現・露出はありません。 【生成】AI(画像生成)を用いて制作。 ※登場人物はすべて成人(18歳以上)です。主人公は大学1年生の新人タレントであり、 作中の事務所・現場・ゲーム作品はすべてフィクションです。






