道化髪 第一話「降格」
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今夜から、あなたは笑われる側。 小鳥遊すず、22歳。巡業する「鷲尾大サーカス」の花形、空中ブランコ乗り。 腰まで届く赤茶の髪は、飛ぶたびに空へ一本の線を描く——それが彼女の芸の半分。 亡き母が毎晩百回梳いてくれた髪。母の入院費は、まだ団の帳簿に七割残っている。 夜明けの駅。始発まであと七分。 トランク一つで逃げようとしたすずは、ホームで団員に腕をつかまれる。 団長・鷲尾の罰は——「今夜から、お前は道化だ」。 その夜の第二部、リングの真ん中に置かれたたらいと椅子。 道化の古株トキに命じられ、すずは客席の前で、自分の手で自分の髪を泡だらけに洗わされる。 「花形のシャンプーショー」に、何も知らない客席がどっと沸く。 鋏が右から、後ろから、左から長い髪を落とし、 バリカンが額の生え際から入り、前頭から頭頂、つむじまで。 泡と剃刀で地肌を卵のように仕上げ、横に残した髪は逆毛で丸くふくらませる——道化剃り。 赤い鼻、白い丸、描かれた涙。初めて見る鏡の中の「だれか」。 大トリを継いだ相方セリカへの拍手。自分の髪を自分で掃くほうき。 そして刷り直された町じゅうのポスター——。 【収録】フルカラー32ページ(表紙+本文31P)/全130コマ 【エンジン】喪失・無力・羞恥。四幕構成(空に線を描く髪への誇り→借金・逃亡と連れ戻し・道化への降格 →本人による泡のシャンプー・鋏の三方向・額からのバリカン・剃刀・逆毛→鏡・道化のお辞儀・ポスター・毎朝の剃髪) 【最終形】道化剃り(前髪も含め前頭〜頭頂を剃り上げ、両サイドだけ逆毛でまん丸にふくらませた形) 【画風】細いペン線に透明水彩で色を置いたフルカラー 【方針】散髪の屈辱に特化した非性的作品。性的表現・露出はありません。 ※登場人物はすべて成人(18歳以上)です。主人公・すずは22歳。 ※本作はフィクションです。サーカス団・登場人物はすべて架空です。






