カラフル
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この本に興味をもってくださり、ありがとうございます! 【本作は】 ↓ “色”をテーマにした短編集です。 青、赤、緑、黄色、紫、黒、そして、それらが混ざり合う“カラフル”な世界。 普段の生活の中で、私たちが目にする色たちには、それぞれに小さな物語が隠れています。 本作では、そんな日常の中のささやかな色たちに寄り添い、物語として描きました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 筆者の思う“色”のイメージ ▷青は、静けさや孤独 ▶赤は、想いの強さや温もり ▷緑は、命の芽吹きとやさしさ ▶黄色は、素朴な幸福 ▷紫は、別れと再生 ▶黒は、暗闇の中の静かな希望 それぞれの色を、心の中にそっと差し込むように書き上げました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー ①なんでもない日常の中に、少しのきらめきを見つけたい方 ②静かな物語で、心を穏やかにしたい方 ③夜の静けさに寄り添う、優しい物語を探している方 そんな方に、きっと楽しんでいただけると思います。 一話完結で読み進めやすく、寝る前や、静かな時間のお供におすすめです。 ちょっと一息する際、お気に入りの飲み物を片手に、 日常の中に隠れた“カラフル”なひとときを、ゆったりとお楽しみください^^
【無料で試し読み!】
更にもう一話ぶん! noteかPDFで試し読み出来ます! note↓ https://note.com/say6novel/n/nb3eff3ffa7a5 ------------------------------ 【真っ白なノート】 放課後の校舎は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返る。 教室の片隅に置かれた木製の机の上で、ひらひらと紙が風に揺れている。窓の外から差し込む夕日が、カーテン越しに淡く教室を染めていた。 「ねえ、それ、また持ってるんだ」 椅子の背もたれに腕を預けて、親友の四季(しき)が声をかけてきた。私は手の中のノートを見つめる。表紙も中身も真っ白なノート。何の飾りもない、ただの白紙の束だ。 「うん」 「なんでいつも持ち歩いてるの? まだ何も描いてないでしょ」 そう言って、四季は机の上に頬杖をついた。彼女の目線は、私のノートに注がれている。私は苦笑いを浮かべて、その角(かど)を指でなぞった。 「…どうしてだろうね」 「えー、なんか意味があるんじゃないの?」 「うーん」 曖昧に笑って、私は窓の外に目をやった。茜色に染まった空が、町をゆっくりと包み込んでいく。 目を細めると、遠くの公園、川沿いの道、駅前の小さな喫茶店、見慣れた景色が一つずつ影を伸ばしていた。 私はこの町が好きだった。 何も特別なものなどない。どこにでもある静かな町。 けれど、日々ここで生きている人たちの姿が、言葉が、表情が、たまらなく愛おしく感じる瞬間がある。 春になれば、私はここを離れる。 それは進学のため。 そのことを考えると、胸の奥がきゅっと締め付けられるようだった。 「ねぇ、そろそろ行こ」 四季の声。 私は小さくうなずいて、鞄にノートを滑り込ませた。 その瞬間、ふと気づく。 白いページは夕日に照らされて、ほんのりと赤みを帯びていた。 ・・・ 帰り道、私は商店街を歩いていた。 八百屋の前では、おばあさんたちがみかんの値段をめぐって話し込み、クリーニング店の奥では、店主がアイロンの音を響かせている。 公園のブランコ。小さな子どもが母親に背中を押され、空へと飛び上がっている。 一つ一つの光景が、心に色を落とす。 それはまだ、言葉にも絵にもならない。 けれど確かに心の中で、それらすべてが描かれていた。 駅前の広場で、ふと足を止める。 ロータリーの端に、小さなバスが停まっている。 運転手のおじさんが制服の胸ポケットから折りたたまれた紙を取り出して、何度も開いたり閉じたりしていた。 その紙からチラリと覗くのは子どもが描いたような絵、そして「がんばって」と大きく書かれた文字だった。 「ああ、いいな」と思った。 あの紙にはきっと、あの人だけの物語がある。 私はノートを取り出し、白いページを開く。 ペンを持つ手が、少し震えた。 何かを書きたい。 今の、この気持ちを。 でも、うまく形にならない。 ノートは、相変わらず真っ白のままだった。 それでも私は、ページを閉じずにそのまま広場のベンチに座った。 「この町には、色が溢れているんだよ」 誰に言うでもなく、私は一人、呟いた。 真っ白なページは、もうすぐ色で満たされる。 そう信じていた。 ふと、ポケットのスマホが震える。 画面を見れば、四季からのメッセージ。 「明日も、またノート持ってきなよ」 私は微笑んで、「うん、もちろん」と返信した。 ノートをしまって歩き出す、夕暮れの空が滲んだ。 ------------------------------ ここまで読んでいただきありがとうございます。 他にも多数の試し読みをご用意しております! 少しでも気に入った作品あれば、続きのご購入をご検討くださると幸いです! 今後とも応援よろしくお願いいたします。
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