豺狼
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この本に興味をもってくださりありがとうございます! 【本作は】 ↓ “神話の裏側”を生きた一匹の獣の物語です。 山犬と狼の混血として生まれ、 神とも怪物ともつかぬ異形――その名は「豺狼(さいろう)」。 人の世にも、獣の世界にも居場所を持たぬその獣が、 長い時をかけて知り、語らい、そして還っていく。 これは、語り継がれる一匹の獣の、静かな伝承の”始まり”です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 筆者の ▷怪物に宿る“人ならぬ孤独”や“時の流れの断絶” ▶自然の中に滲む、言葉にならない癒しと別れの美しさ をあなたへ届けられるように 心を込めて書き上げました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー ①「異形の存在」の視点から描かれた物語を読んでみたい ②幻想的で、どこか懐かしい和の空気に浸りたい ③“語られなかったもの”の裏側に触れてみたい… そんな方にぜひ手に取っていただけたら嬉しいです。 寝る前にそっと開いて、 まるで山奥で風と語らうような時間をお楽しみください。 静けさの中にある、確かな祈りをあなたへ。 ▽ これからもたくさんの読みやすい小説をお届けします! 新作の通知のため、ぜひ BOOTHのフォローをして 応援よろしくお願いします! また、割引キャンペーンやプレゼント企画の告知などもしますので、 SNSのフォローもよろしくお願いします! Ⅹ(旧Twitter):@say6novel 著者:セーイ6
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更にもう一話ぶん! noteかPDFで試し読み出来ます! note↓ https://note.com/say6novel/n/ncea47833fdd5 ------------------------------ 『黎明』 山の奥深く、陽の差さぬ苔むした森に、人知れず一匹の獣が産声を上げた。 山犬のように雄々しく、狼のように気高く、しかしどちらともかけ離れた、異質な姿。 その毛は黒曜のように硬く尖り、触れた者の肌を裂く。 牙は岩をも砕き、爪は大木をも切り裂く。 まるで寄り添う者すべてを拒むためその身を作られたかのように、禍々しく異形の獣であった。 その獣、誰が呼んだか名を“豺狼(さいろう)”という。 父に山犬、母に狼を持ち、混血の化物、はたまた妖としてこの世に生まれ落ちた存在。 山犬には「混ざり者」として追われ、 狼たちには「異物」として拒まれた。 豺狼が山を歩けば、 鳥たちは飛び去り、獣たちは遠巻きに避けた。 皆、その姿を見れば畏れを抱え、逃げ去る。 豺狼は、孤独であった。 冬。 山に降る雪も、彼の上には積もらない。 優れた毛並みが雪を拒む。 山犬も、狼も、その他の獣にも類を見ぬ優れた毛と皮。 山の獣らが身を寄せて寒さを凌ぐそのときも、 豺狼は独り、洞の奥で目を伏せていた。 孤独は、彼の心をじわじわと蝕む。 けれどそれよりも、豺狼を真に苦しめたのは 「長命」であった。 豺狼にとって、時の流れは残酷だった。 父が皮になり、母が骨になるまでに、豺狼が感じたのは、ほんの数夜の夢ほどの短さだった。 山犬が一匹、狼がまた一匹と姿を消し、 新たな群れに、豺狼は顔すら合わせなくなる。 聞き覚えた烏の声も、ある日突然、変わる。 誰も彼も、いつのまにかいなくなっていた。 季節は巡り、山の顔ぶれは変わり続ける。 木々が育ち、風の匂いが変わっても、豺狼だけが変わらずそこにいた。 いや、変われず、取り残されていた。 ある晩、月が異様に赤く、空を染めていた。 豺狼は久しく山を歩く。 足跡を残さぬよう、音を立てぬよう、気配を風に紛れ込ませることにも、慣れてしまった。 夜の森には、新しい生き物の匂いが充ちる。 見知らぬ鳥の羽音、世代を経た草花の香り。 どれも、彼に馴染まぬものばかり。 「 俺は、いつまでここにいるのだろうか…」 ふと、そんな“問い”が浮かび、風に攫われた。 応えるのは、ただ風が木々を揺すり靡く音だけ。 そうして豺狼は、悠久の時を生きることを悟る。 牙も爪も、鋭く。 毛並みも、さらに艶やかに。 飢えもせず、ただ孤独に耐え、生きていくのだ。 どうして生きるのか、わからない。 けれど、生を止める理由もまた、見つからなかった。 そして今日も、黎明の光を待つ。 夜が明けるその刹那。 山から滲む黒い影が、木々の隙間を縫う。 東の空が微かに染まる。 まるで、日の光を避けるように。 まるで、風の攫った問いを取り戻すように。 吠えた これは、犬でも狼でも居れぬ獣が、 ある山の奥、黎明を待つ、 儚く、無常の 物語 ------------------------------ ここまで読んでいただきありがとうございます。 他にも多数の試し読みをご用意しております! 少しでも気に入った作品あれば、続きのご購入をご検討くださると幸いです! 今後とも応援よろしくお願いいたします。 https://note.com/say6novel/n/ne2726146a0e1
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