忌部氏の逆襲 第四部スピンオフ(家) — 戦後政策への警鐘 —
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第四部 斎省の光と影(明治—大正—昭和) 第十八章 占領の祓 ― 家と学びを守る策 戦後GHQの政策は - 「家」→「個人」 - 「天皇中心の国史」→「西洋的民主主義に基づく日本史」 - 「神話・伝統」→「合理主義・歴史批判」 という方向で、日本の本来的な共同体的・神話的な価値観を弱体化させようとするものだった。 中でも家族制度の解体について • 民法改正(一九四七年) o 「家制度」の廃止(家長による家族統率権・戸主権を廃止) o 戸主権の廃止により、家族よりも「個人」を基準とする制度へ転換 o 相続は長子単独相続から「均分相続」へ変更 • 戸籍法改正 o 「家単位」から「夫婦と子を単位」とする戸籍へ変更 o 家族的な連帯より、核家族・個人主義の方向へ ある論説 家族制度の解体の主な弊害(副作用) • 三世代同居の縮小 → 育児・介護の“外部化”と家計負担増 祖父母の常時支援が得にくくなり、保育所・学童・介護サービスの利用が前提に。結果として保育料・送迎・介護費などの出費や時間コストが増大。共働きも「選択」から実質的必須へ近づく。 • 家業・家産の維持困難 → 生計の不安定化・地域機能の弱体化 家督がなくなり均分相続が基本に。土地・家屋・家業(農林漁業・商店・工房)が分散しやすく、承継の意思決定が難航。結果として家業の廃業・縮小、地域祭礼・氏子総代・町内会などの担い手不在が進みやすい。 • 相続協議の長期化・紛争化 「誰が家を継ぐか」が自動決定されないため、遺産分割協議が長引きがち。居住不動産や墓守・仏壇・家文書など、金銭換算しにくい資産で対立が起こりやすい。 • 住居費・生活コストの多重化 分家・別居が前提化し、住宅費・水光熱・家電・車などが世帯ごとに重複。身内の助け合いによるスケールメリットが効きづらい(家電・車・部屋・食事の共有が難しい)。 • 家内の“保険機能”の縮小 → 生活ショックへの脆弱化 病気・失業・産後などの一時的危機でも、同居親族の即応が得にくい。外部サービスや公助に頼る割合が増え、待機・手続き・費用の負担が発生。 • 高齢者の孤立・見守り低下 単身・夫婦のみ高齢世帯が増え、日常の声かけ・急病時の即応が弱くなる。結果として孤立・孤独死リスクや生活不活発化の懸念。 • 文化・技能・家史の継承断絶 家のしきたり・家業の技能・系図や古文書・祭具の管理と伝承が分散・散逸。冠婚葬祭の作法や地域儀礼の継承力が低下。 • 家内役割の再編が“ワンオペ”を生みやすい 権威的な戸主制は消えた一方、同居支援が少ない核家族では**育児・家事・介護が一人に集中(ワンオペ化)**し、燃え尽き・離職・出生回避の要因になりやすい。 • 地域共同体のハブ喪失 本家・分家のネットワークや親族会が希薄化。相互扶助・就職口・縁故の情報網が弱まり、地域の防災・子ども見守りなどの非公式セーフティネットがやせ細る。 • 「家」名義での長期投資・長期視点の弱まり 家計や資産形成が短期志向(各世帯のライフサイクル最適)になりやすく、伝統建築・山林・農地など世代をまたぐ保全投資が難しくなる。