第六部　令和の祭政（最終編） ある論説　―「経済大国」の影と、江戸に学ぶ循環の設計― “大きいことは善”という思い込み 戦後日本は「経済大国」を合言葉に、大量生産・大量消費をエンジンとして走ってきた。復興の段階でそれは有効だったが、成熟局面では、資源の浪費・地域の空洞化・生活の過剰化という影が濃い。そもそも、経済規模が大きい＝社会が豊かと言い切れるのか。数値の増加（GDP）だけでは測れない損失が、静かに積み上がっている。 Ⅰ. 大量生産・大量消費がもたらした主な弊害 • 資源と環境の劣化：短寿命設計・過剰包装・過剰在庫が、廃棄物とエネルギー浪費を恒常化。 • 地域の力の衰退：画一的な全国流通が、地場産業・小商いの居場所を奪い、町の多様性を削る。 • 生活コストと心の疲弊：新製品サイクルの短縮が、“常に更新”の心理圧と家計負担を増幅。 • 真の価値の不可視化：品質・修理可能性・環境負荷よりも、価格と派手さが選択の主軸になりがち