『暦林問答集』における典拠の誤り―現存書を用いた再考―
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賀茂在方撰『暦林問答集』(1414年序)において明示された74項目の引用文献およびのべ209条の引用箇所を整理し、現存書36書を用いておよそ半数の107条について孫引きや典拠の混同を調査した論文です。(2021年3月20日公開) 拙著『現代語訳・暦林問答集』上巻、第三版および執筆中の下巻において、本稿を反映させております。 データ形式は、計88頁のPDFファイルです。 (※実際の論文に、「霹靂火雷公印」の画像は入りません。)
故中村璋八氏(1926-2015)に捧げる、『暦林問答集』研究の一里塚
暦注書『暦林問答集』の典拠についての研究は、中村璋八「暦林問答集の鈔本と引用文献」(1979)以来、40年以上にわたり滞っていました。本稿は中村璋八「暦林問答集本文とその校訂」(1978)所収の原文を再検討した上で、中村氏が検出したと考えられる引用文を具体的に整理し、知りうる限りの「典拠の誤り」を指摘した論文です。 惜しむらくは中村氏の一周忌を過ぎた2016年8月より『現代語訳・暦林問答集 上巻』 https://rabansha.booth.pm/items/1172246 の執筆を始めたため直接お目にかかれませんでしたが、新たな研究に一石を投じることができれば幸いです。
目録
『暦林問答集』における典拠の誤り―現存書を用いた再考―_表紙.pdf 表紙(1頁) 『暦林問答集』における典拠の誤り―現存書を用いた再考―.pdf 本文(14頁) 序論 1. 引用文献および条数の整理 1-1. 集計方法 1-2. 集計結果 1-3. 多く明示された引用文献 2. 引用箇所および典拠の整理 2-1. 引用箇所の整理方法 2-2. 典拠の整理 3. 典拠の再考 3-1. 孫引きの検証 3-2. 典拠の混同 結語 後注 参考文献 付録1 『暦林問答集』本文テキストファイル(16頁) 付録2 『暦林問答集』における引用箇所(48頁) 付録3 図表(9頁)
特色
中村璋八「暦林問答集本文とその校訂」(『日本陰陽道書の研究』中村璋八、汲古書院、1985年、353-400頁 所収)における『暦林問答集』本文を誤植や句読点の位置などを適宜修正したテキストファイルをPDF出力し、付録1として収録しました。「暦林問答集本文PDF」 https://booth.pm/ja/items/2524364 として公開中の内容とほぼ重複しますが、今後の研究に役立つよう頁番号および行番号を便宜上追加しました。 また、これまで「七十余種の引用文献 *1」として70項目それぞれの引用条数のべ200条として数字のみ挙げられていた引用文の集計方法を再現し、条数に差のある7項目について誤植や妥当性を論じました。(1-2. 参照) その上、それぞれに章番号(C1~C64, Ⅰ~Ⅹ)および条数(Q1~)を追加して付録2とし、議論の基礎として扱えるよう工夫しました。 *1 中村璋八「暦林問答集の鈔本と引用文献」『日本陰陽道書の研究』中村璋八、汲古書院、1985年、346頁 参照