【フラット】約款オイゼビウス
- ¥ 500
■「約款オイゼビウス」B6/36P ■SPARK新刊だったフェイクなフラットくん+ジャックさん(+ちょっと二世)の一冊です。 ■時計塔に戻ってきたフラットくんがジャックさんに手紙を書く話+ピクシブに投稿した「見世物レイテンシー」に少しだけ加筆の2話。 ■サンプルは手紙を書くフラットくんの話です。
約款オイゼビウス
平身低頭、身のほど知らず。 既知だったのは、アンラッキー。 御神籤、ひらりと、ケセラセラ。 ララララ、僕らははためいた。 ジャックさん、お元気ですか。俺は元気です。 ロンドンは今日もどんよりと薄曇りで、たまにはからりと晴れてほしい気分になります。爽やかな夏空だなんて贅沢は言わなくて。求めているのはふわりとした一陣の風で。ざあっ、と頬を掠める突風でもいいかな。春風みたいな優しい空気でもなく、掴めない気持ちになるのは上空が薄い青だからかも。 海に行ってみたらいいのかもしれません。 なんとはなしに列車を乗り継いで、たどり着いた先に見えるのが断崖絶壁だったとしても。穏やかな波を見つめたら、未来を見据えられるかも。荒波に漕ぎ出したっていいと思うんです。クルーザーもかっこいいけれど、ここはやっぱり手漕ぎボート。バナナボートじゃあダメかなあ。ジャックさんはどう思います? パラシュートで飛び降りるのはオッケーですか。 セスナかプライベートジェットで、ぐんぐんと高度を上げて。ワン・ツー・スリー、なんてカウントもなしに、ばっと空に体を投げ出したら、いっそ跳べてしまうかも。俺は宇宙飛行士になりたいと考えたことはないんですけど、ちょっと格好いいですよね。そんなアクションができちゃうかもしれないです。 川下りはロンドンを離れなくちゃあいけないなあ。 キャンプってやったことないや。ジャックさんは経験あります? 急流に呑まれそうになりながら、大きな滝に向かって行っちゃったりして。テントを張って厚いシートを敷いて、寝袋に包まれたら、ホットミルクが美味しいかも。やっぱり夕飯はカレーなのかな。俺はバーベキューがいいと思うんですけど。 ボーイスカウトみたいにアマゾンの奥地へと向かったり。 鬱蒼とした木々がにょきにょき生えている中をぐんぐん進んで、ゴリラに追いかけられたり。緑と茶色と砂色ばかりが世界を席巻していそうですよね。ピンチが雨あられで来襲するかも。チャンスはなかなか巡ってこなくて、涙目になっちゃうかも。大声で助けを求められるように、発生練習をしておくと役立ったりするかなあ。 ずらっと続く階段を延々と駆け降りていくと、大理石。 あれですあれ、そうそう、お城の階段。ぐるっと連なる螺旋階段でもいいですね。エルメロイ教室の入っている現代魔術科の入口の階段だと、俺は手摺を滑っちゃうんですけど。階段をずっと降りていると、次は左右どっちの足を出すんだったか、分からなくなりません? 俺はなります。だから滑っちゃうのがいいんです。世界に飛び出すみたいに。 灯台で灯台もと暗しするのはどうでしょうか。 ピカピカに海や船や海岸線を照らします。フラット・エスカルドス、ここにあり! なんて印でもなく、みんなの、宇宙の道しるべ。見つけられるかなあ。待てど海路の日よりあり。でも、どれだけ待ったらいいんだろう。灯台守さんは寂しくないんでしょうか。もちろん一人とは限らないし、二人だったり三人だったりするのかもしれないですけど。 西部劇に出てくるような早撃ちガンマンになるとか。 ヒュウン、と吹きすさぶ風。バラバラと回転して散るのはダンブルウィードで、扉を開いたらヒラケゴマ。そうだ、馬に乗れないとマズいですよね。最近乗馬をやってないので、練習しときます。くるくると銃を回してガチャリ、と引き金。ばんばん撃ってひらりと避けて、銃撃戦と乗馬戦。復習しとかないと、ひっくり返って落ちそうだなあ。 SF巨編の小型宇宙船に乗り込むチャンスがあったりして。 セスナと似たコンソールだといいと思います。そうだったらわりと行けるかも。二人で操縦するタイプじゃないといいなあ。ジャックさんは騎乗スキルありましたっけ? あるんだったら安心です。俺がハンドリングしなくても、オートパイロットでなくても、効率よくジャックさんがこなしてくれるのかも。霧で分身したり分裂したりして。 ケーキやクッキーやスコーンで、なんともかんとも夢の国。 お菓子を作ってみるなんて、考えてもみなかったなあ。買ったり貰ったりばかりだったから。薄力粉とバター、卵と砂糖がくるくるとかき混ぜられて。クリーム色が幸せみたいに見えるのは、甘いからなんでしょうか。とてつもない甘さも、ほんのりとした甘さも、どうにもこうにも優しいばかり。ジャックさんは甘いもの平気ですか? こうなったら、起き上がってもブレックファースト。 分かりやすく、目玉焼きにトースト。トーストは何枚がいいだろう。ベーコンに焼きトマトとチーズ。ああ、エッグベネディクトがいいかもしれないですね。ポーチドエッグってどうやって作るんだろう、とはてさてです。検索しときます。トーストでなくマフィンにしよう。オーロラソースがとろりと皿で流れたのなら、きらきらと目映いかもしれないですし。 図書館のカウチソファはなかなかの座り心地です。 インターネットを忌避する魔術師も多いですけど、便利なものは便利です。効率いいし。それでもたまには覗いてみます。調べものの場合もあるけど、どちらかというとカウチに会いに図書館へ。ずらっと並んだ書架も圧巻だし、書籍の数だけ俺の知らない世界があると思うと、なんとも胸が踊ります。宇宙を目の前にしている気がして。 風を待っても時間がなくても、必要なランチ。 サンドイッチとホットサンドだったら、ジャックさんはどっち派ですか? サラダの代わりにストロベリーかオレンジ。キウイかバナナも添えちゃおう。ここはやっぱり珈琲でしょうか。アボカドとチーズにスモークサーモンとか。ミートパイもいいかも。オープンサンドやホットドッグも美味しいですよね。選り取りみどりで悩みます。 オペラ観劇やクラシックコンサート鑑賞もアリなのでは。 ちょっとだけ服にも気を遣って、出かけるのも面白いかも。俺は襟元がきっちりしているのは苦手なんですけど、一応頑張ります。ぴかぴかに磨かれた靴でホールのカーペットを踏みしめたら、どきりと鼓動だって騒ぎそう。分厚くて重いドアをぐっと押し開いた瞬間に、音と唄が溢れ出して、俺とジャックさんの音楽性が開花しちゃうかもしれないです。 とうとうラストの、大事な肝要ディナーとは。 ビーフとチキンとポーク。もちろんラムでもジビエでも。ジュウッ、と焼いてみせましょう。蒸しても煮ても揚げたりしても。ローストビーフとローストチキンだったら、どっちが美味しくできるだろう。なにやらローストしたくて仕方がない俺は、どっちも作ったことがないんですけど、どうしてだか上手く焼ける予感がします。根拠はないんですけど。 クラフトビール片手に、星空を見上げるとか。 真冬のキンキンに冷えた空気の中で、キンキンに冷えたビールをグラスに注いで。俺はまだ飲めないんですけど、ジャックさんには淹れますね。俺はそうだなあ、クランベリージュースとか? 顎を少し傾けるだけで、降るような光があったらどうしよう。惑星の消滅に涙するか、はたまた祈ったりしたらいいのかなあ。 そうそう、ジャックさんは、(聖杯へのは除いて)願いごとってありますか? ◇ 視界いっぱいに真っ暗闇で瞬く星があったはずなのに、いつの間にやら宇宙は遥か彼方になっていた。俺の背後を埋め尽くしているのは星屑ではなく、文字の連なり。魔方陣が描かれたフロアでもなく、適度な厚さのカーペットは見慣れた色だ。デスクは美しくも飴色に輝いて、いつもの表情で煙をくゆらせる横顔がある。さらさらと万年筆が滑って、綺麗な用紙に署名がされたみたいだった。 「……教授」 「ああ」 「教授」 「なんだ」 「教授……」 「どうした」 「……絶対領域マジシャン先生」 「それは私の名前ではないな。君はどこの教授を呼んでいる?」 「グレートビッグベン☆ロンドンスターです……」 「それで、どうした」 「このニックネームはいいんですか?」 「いいわけなかろう。だが、話が進まないからな」 「教授、先生、ロード・エルメロイⅡ世」 「いかにも」 ジャックさんから手紙の返事がこないんです、とぽつりと呟いたら、とんでもなく細められた黒い瞳が俺を見据える。馬鹿馬鹿しい、と一言で切り捨てられそうだ。でも、それでこそ俺たちのロード・エルメロイⅡ世、という気もする。切り捨てられたいのかそうでないのか、俺にはよく分からなかった。ばっさり行ってほしいような、夢を見させてほしいような。今日も空は薄青くて、ロンドンはいつだって物寂しい。 現代魔術科の校舎は掃除は行き届いているけれども、古ぼけている。歴史はまだ浅い学科でも、校舎の入っている俺たちの〔スラー〕は少しだけオンボロだった。俺はそれが嫌いじゃあない。レトロで年季の入った校舎の最上階の最奥に、室内はしっかりと整えられた一室がある。調度品も比較的立派なもので、応接室を兼ねた教授の執務室のソファは適度に柔らかく張りがある。俺はそこにずぶずぶと沈んだ。 モナコの海みたいなエメラルドグリーンの海水を思い返しながら、天井を見やる。まぶたの裏には蒼と碧。実際はダークブラウンの壁紙と、壁面いっぱいの濃茶の書棚に収納された書籍の背表紙が映る。落ち着いた色味の多い表紙に、金銀で箔押しされたタイトルは、質実剛健なのか豪華絢爛なのか謎だ。そう、それこそ教授みたいに。ひっそりとしていそうで実は派手なんだとか、なんだかそっくりだ、とこっそり笑う。 「……まあ、返事はこないだろうな」 「きてほしいんですけど」 「どうやってだ。根源の渦からか?」 「知りませんけど。根源とか聖杯とか、どこかの魔力がプールされてるプールとか」 「そのプールはどこにある」 「校舎の屋上に創ってもいいですか?」 いいわけなかろう、と教授は繰り返し、更に目を細めた。モナコの実家に創ろうかな、とちょっとだけ閃く。でも、あそこはなあ、と眉間にシワが寄りそうになった。うーん、と軽く唸りながらソファでごろりと回転する。膝を抱えて丸くなったり、だらんと足を放り出したりしても、なぜだか教授はなにも言わない。なんともかんとも珍しい、と摩訶不思議だ。こういうのを、〔オニノカクラン〕とか言うんだったろうか。 優しくしないでくださいよ、教授。 空っぽになった手首でスノーフィールドから帰ってきた俺を、叱るでもなく怒るでもなく、淡々と諭す。そのあたりはとても教授らしかったけれど、どうにもこうにも拍子抜けしてしまう。烈火の如くにお説教をされたいはずもないけれど、奇妙な雰囲気が漂っている。ああ、ひょっとしたら、マグマに怒号が点火される寸前だったりするんだろうか、とも考えた。でも、それにしては静寂だ。わりといつもの〔ロード・エルメロイⅡ世〕だ。 「……返事がこなくとも、手紙は出すといい」 ワインレッドの万年筆で文字を綴りながら、さらりと教授は呟いた。まるでそれが当然だ、とでも表現するように。ぱちりと一度瞬きをしてから、ぼんやりとデスクに目をやる。「効率悪いですよ」ぽつりとこぼしたら、「そうかもしれないが、非効率が有効な時もある」としたり顔だ。難しい問いに対するような横顔がひきつって、なにかを思い出したみたいだった。ぽろり、といった風情で言の葉を洩らす。 「昔、ウェイバー・ベルベットは新聞に載せた」 「え?」 「だから、新聞だ」 「なにをですか?」 ウェイバー・ベルベットは教授の名前だ。エルメロイ教室や時計塔のどこを歩いていても、その名で教授を呼ぶ人はいない。そう、教授の友人である、魔術刻印の調律師を除いたら誰も。ウェイバー・ベルベットは、教授の過去を呼び出す名前だから。たまにエルメロイ教室のお姫様が声にしていた気もするけど。でも、でもでも、世界に溢れるような音じゃあなかったはず。たぶん、きっと、恐らく、予想するのならば……そのはずだ。 さあ、ご覧あれ。誰かの声が聴こえる。 「新聞に?」 「ああ」 「タイムズですか、ガーディアンですか、それともテレグラフ?」 「どこでもいいだろう」 「ぜんぜんよくないですよ! なんですかそれ、すごく面白いしめちゃくちゃ格好いい!」 「……面白くないし、格好よくもない」 「教授! 時計塔の図書館か資料室になら、十年前の新聞保管されてますよね?」 「十年前じゃあないぞ」 「あれれ、二十年前でしたっけ?」 「私はそんな歳じゃない!」 不本意そうな叫びを上げる声を背中に、俺はばあっ、と部屋を飛び出す。もつれて転びそうな足を間違えないように動かして、速度を上げていく。磨かれた廊下でつんのめりそうになり、体勢を立て直す。とてつもないスピードでエルメロイ教室の正面玄関まで走ってしまったら、もう階段の手摺は滑り降りるしかない。水が、河が、海が溢れるように、勢いをなくさないように。ガチャリ、と両開きの大扉を解放したら、視界に抜けるような青空が広がった。 ◇ ジャックさん、お元気ですか。俺は元気です。 なんて、実はそんなに元気でもなかったんですけど、ちょっとだけ元気が出てきました。 そこは暖かいですか。それとも冷たいですか。あんまり寒くないところでないといいなあ、と思います。ジャックさんは寒いのが苦手そうだから。ひょっとして、そんなこともないですか? ロンドンの霧になれるくらいだし、その霧そのものみたいなジャックさんだからなあ。 俺の実家のあるモナコは暖かいです。冬はそこそこだけれど、夏はピカピカできらきらしています。実家に行くといろいろあるのであんまり帰りたくないんですけど、ジャックさんにモナコの夏を見てほしいと思いました。いつか、一緒に行きませんか? ジャックさんは「私にそんなきらきらした場所は似合わんよ」と言うかもしれない。でも、ぜんぜんそんなこと関係なくて。俺だってそんなところ似合いませんし。ジャックさんの実家のような〔霧のロンドン〕を俺は知っているので、〔夏のモナコ〕を見てほしい。ワガママみたいな必然みたいな、不可思議な欲求です。俺にもこんなものがあったんだなあ、とはてさてとしています。 ロンドンは、時計塔は、エルメロイ教室は相変わらずです。 教授は優しくしてくれなくなりました。というか、いつもどおりになりました。この間のあれはなんだったのかなあ、と首を傾げてばかりです。俺が「これは面白い!」と考えることをやると怒られます。ヘッドロックです。教授の渾身の力でやられても大したことはないんですけど、魔力も注入されているみたいで、ぎりぎりと頭骸骨が軋みます。ヘッドロックのあとはぽいっとされて、大仰に溜息されます。師匠って大変ですね。 教授の内弟子で墓守の女の子がいるんですけど、なんでだか、最近会うと泣きそうになっています。「どこか痛いの?」と訊ねても頭を振るばかりで。教授の執務室の手前には小部屋があって、内弟子の子はそこにいることがあります。だから、この間の話が聞こえたのかも。そうかあ、と思って、俺は内弟子の子にジャックさんの話をします。それで、また泣かれそうになっちゃうんですけど。でも、俺とジャックさんのことって悲しいことじゃないですよね? エルメロイ教室で同輩だった〔犬〕みたいな男の子に、再会した瞬間にグーで殴られました。五メートルくらい吹っ飛びました。「お前、気配がなかっただろ!」とぎゃんぎゃん騒いだりなんかして。これはコミュニケーション。聖杯戦争に参加したことを口にしたら、三秒後にもう一回パンチがきました。今度は十メートルくらいゴロゴロ転がりました。これもコミュニケーション。教室は卒業した子なので、久しぶりに会えて嬉しかったです。 このところ、エルメロイ教室のお姫様にちょっかいをかけられています。面白いことが好きな子なんですけど、俺が聖杯戦争に参加したのが興味深いみたいで、研究するそうです。なんだかサンプルの気持ち。教授もサンプルです。ジャックさんを呼び出したナイフを大事にしていると、見せてほしいとねだられます。聖遺物だよ、と渡すと、「いや、これはレプリカでもないだろう」と唸っていました。召喚できたのが不思議でならないそうです。 エルメロイ教室にもう一人、サーヴァントを喚び出したことのある男の子がいて、ぽん、と背中を叩かれました。明らかに「よく生きてたな」という顔で。嬉々としてジャックさんの話をしたら、とんでもなく引かれました。眼鏡がズリ落ちてた。どうしてだろう。召喚したサーヴァントについて訊いたら、「……やる気があって、格好よかった」との弁。「同じだ」と返したら、不可解そうな顔になりました。どうしてでしょう? 教室のお姫様と一緒にいる〔月霊髄液〕の女の子も、そういえば聖杯戦争を経験しているんだ(教授と同じ時です)、と思って、ジャックさんに関して話してみました。よく俺とシネマやブルーレイディスクや配信で映画を観るので、その時に。「切り裂きジャックか……」と呟いてから、サムズアップしてくれたり。やっぱり最高だ、と思いました。〔月霊髄液〕の子もジャックさんも。二人で「切り裂きジャック」に関係する作品を観ました。 ジャックさんはそこで寂しかったりしませんか? 俺はエルメロイ教室にいても、やっぱり少し寂しいです。この持て余すような気持ちをどう伝えたらいいんだろうか、と考えます。〔効率よく〕が俺の身上なんですけど、なんともかんとも上手くいかなくて。効率悪いなあ、と苦笑です。ぐるぐると廻っていく思考は、メリーゴーランドの回転のよう。ぴたりと止まったら、もう一度です。 堂々巡りなのともちょっと違ってて。なんていうのかなあ、くるくるしながら、上昇気流に乗って飛んで行けそうな感じ。上空で滞留している空気を風がさらって、流れていくような。なんとなく分かったのは、停止している時間がないらしいこと。常に動いているのは俺の体よりも気持ちなんだろうか、と首を捻っています。 ジャックさん、あのですね、俺は究極的にグッドアイデアを思いついたんです。 俺にはミドルネームがあるんですけど、それを変えちゃおうと閃きました。 モナコは調べないとどうなのか分からないですが、〔改名〕ってわりと簡単にできるらしいです。教授が(聖杯戦争で)行ったことのある東の島国の〔ニホン〕だと、十五歳から自分で家庭裁判所に申し立てできるとか。もちろん許可を得るための理由が必要なんですけど、その中の一つに、「通称として永年使用していること」というのがあるんですって。普段からその名前を名乗っていたら、それが〔通称〕として固定されるなんて、効率いいですよね? 魔術師として本名が明かされてしまうのは、まあ、悪手ではあるんですけど。でも、本名が知られている高名な魔術師なんてたくさんいるしなあ、とも思うわけです。呪詛をかけられ易いとか、そのへんは〔呪詛返し〕をたくさんトラップみたいに並べておいたらいいのかも。 気に入った〔通称〕を音にして、言葉にして、署名して、タイプされて、呼ばれて、それが本物になる。 すごく摩訶不思議で、めちゃくちゃなロマンで、とんでもなく神秘な気がしませんか。 数年その〔通称〕で過ごしている必要があるみたいですが、やってみようと思うんです。というか、ジャックさんも応援してください。 フラット・〔J・T・R〕・エスカルドス (反英雄の名前だと、裁判所で許可出なかったり!? 俺は格好いいと思うんですけど!)