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サイズ:文庫本(A6) 形 体:オンデマンド印刷 頁 数:144頁(表紙込) 発行日:2024.5.5 以前出した『夜雨対牀』『吹花擘柳』『春霜雨』『月之夜寒』『合縁奇縁』と同じ本丸の話を纏めて再録+書き下ろしで『鴒原之情』の計6本入ってます。なお書き下ろしは『合縁』の続きになります。無事に火車切くんお迎え出来ましたので、ちょっと出てきてますが、まあ、くりんばなので。
鴒原之情
濃く香るのは水の匂い。雨の気配。湧き出す清水の弾ける芳香。 とある水神の加護を受けるこの本丸の転送門は池の中州に設置されている。そのほとりにある小屋は常に二名の当番が外部からの侵入に備えており、近くには鍛錬道場が三棟建てられている。既に百振りを数える刀がいるこの本丸で、内番でなくても刀を振るいたがるものは多かったし、それならいっそ、防衛部隊の前線基地も兼ねるか、という話だった。 「あら、お帰りなさいませ」 「お帰りなさい、ゆっくりできた?」 今日の当番は京極と乱か。随分と可愛らしい見た目の組み合わせだが、油断大敵、気付けば間合いに踏み込まれて、あっという間に心臓をひと突き。一撃離脱の組み合わせでもある。 「ああ、ただいま。大分のんびりさせて貰った」 「土産は送ったから、あと程で厨用の倉に届く」 あんたのメモにあった苺ソースの季節限定の何とかいう菓子も入ってるから、受け取れ。大倶利伽羅の言葉に乱が破顔する。
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