このかみこころ
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サイズ:A5 形 体:コピー 頁 数:24頁(表紙込) 発行日:2025.05.04 超閃華の刻2025にて発行の新刊のさわりです。切国と大俱利伽羅、いつもの本丸の二人の話ですが、今回は趣向を変えまして、火車切中心で話が進みます。兄心がちょっとから回る大俱利伽羅とお仕事モードの山姥切、あと他の刀もそれなりに。
このかみこころ
稚気と老獪の両極端の性質が不思議に混じっているこの白い太刀は少し苦手だ。自分でも分からない自分の感情に、するりと名を付けてくれるからだ。長く、人の世に在る刀は皆、そういう所があるような気もするけれど。 『国永は伊達で共に過ごした事がある。騒がしくてお節介な所は苦手だが、年長者、という と思い浮かぶ程度には世話になった』 刀帳を捲りながら一振りずつ説明してくれた大倶利伽羅の言葉が蘇る。太鼓鐘、燭台切への気安さとは少し違う、それでも親しさは感じる口調だった。 『光忠も年長者ではあるんだが、あれは恰好付けと世話焼きが過ぎる。飯は美味いがな』 『貞宗も色々と煩いが引き際は弁えてる。短刀ではあるが、男気は一番あるかもな』 淡々と説明を続けて、最後に残ったのは短刀と打刀の一振り。初期刀補佐の小夜左文字と、初期刀の山姥切国広だ。 『小夜左文字は幼いなりだが思慮深い。ごく初期からずっと、世話になっている。歌仙と揉 めた時にも仲裁してもらったしな。歌仙とはどうも馬が合わんが、小夜の顔を立てて最低 限の会話はするようになった』 俺もまだ修行が足りんな。そうぼそりと呟いて、軽く首を振り、最後の一振りについてかたり出す大倶利伽羅の声は平坦だった。 『山姥切国広。堀川国広の第一の傑作で、本作長義の写し。この本丸の初期刀にして総隊長。 剛い、刀だ』
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